「中国語の「把」構文ってなに?」「『把』構文の使い方は?」「『把』構文ってどんな意味があるの?」
中国語の「把」構文の使い方やルールはしっかり頭に入っていますか?中国語学習中級者や上級者の方が陥りがちなミスに「把」の誤用があります。
本記事では、中国語学習歴7年、台湾に語学留学経験ありの筆者が、中国語の「把」構文とは何か、どんな使い方でどんな意味なのか、について詳しく解説しています。
Contents
中国語の「把 」構文とは?

中国語の「把」構文は、特に会話でよく使われることが多い文型で、目的語や行動などを強調して相手に伝えたいときに使う構文のことです。
例1)你扔掉那个垃圾吧(あなたそこのゴミを捨てといて)
例2)你先把那个垃圾扔掉把(あなたそこのゴミ捨てておいて)
上の文章は両方とも「そのゴミ捨てちゃいなさい」という意味ですが、「把」を使うことによってニュアンスが若干変わってきます。
上の例の場合、例1ではただただ平坦に「そのゴミ捨てちゃいなさい」という意味になりますが、例2では、特に「そのゴミ」を強調しています。
「把」をうまく使うことで、「目的語を具体的にどうしたいか」を強調できるため、ネイティブと会話するときもより「やるなこいつ」と思わせることができます。
中国語の「把」構文の文型

では、具体的な「把」構文の使い方ですが、文型はいたってシンプルです。
「主語」+「把」+目的語+動詞
「把」は上のような形で使用します。中国語には「助詞」の概念がないので、「把」構文がその代わりを果たします。
ただし、しっかり使えるようになれば便利な「把」構文ですが、「把」には使うにあたって様々な使用条件があります。
- 処置
- 結果の強調
- 過失
- 他動詞であること
- 動詞が単独ではないこと
- 目的語が特定されていること
- 目的語に共通認識があること
- 目的語が行為の主体であること
上記のように「把」構文には、文の意味的な使用条件と文法的な使用条件があります。「意味的」とか「文法的」と言われてもよくわからないですよね。
中国語の「把」構文の意味①「処置」

「〜を〜する」のように、文章全体が「目的語をどう処理するか」にフォーカスした意味になっていることが「把」を使う時の「処置」という条件です。
例1)我已经把那件事确认好了(その件はもう確認し終わった)
例2)我看「鬼灭之刃」的电影了(私は「鬼滅の刃」の映画を見た)
上の例1の場合、「その件」を「確認する」という処理が行われたことがわかるので、「把」構文を使って問題ありません。
ただし、例2のように、「聞いた」「見た」など、その動作以上自分でどうにかする余地のない文章に関しては、「把」構文を使うことはできません。
中国語の「把」構文の意味②「結果の強調」

「目的語」をどうしたかを詳しく相手に伝えたい場合であることも、「把」構文を使う時の「結果の強調」という条件です。
例)我把这件衣服交给他了(私はこの服を彼にあげた)
上の例では、「目的のもの=这件衣服(この服)」を「交给他(彼にあげた)」という、行動の結果を強調しています。話し手がこのように動作の結果に重点を置いて話をしている場合、「把」構文を使います。
中国語の「把」構文の意味③「過失」

自分の過失を詳しく相手に伝えるニュアンスになっていることが、「把」構文を使う際の「過失」という条件です。
例1)我把你的杯子破掉了(あなたのコップを割ってしまいました)
例2)我破掉了你的杯子(あなたのコップを割った)
上の例では、「把」構文を使うことによって自分の「過失」を強調することができます。仮に「把」構文を使わなかったとしたら、例2のように、ただ事実を述べるだけで謝罪のニュアンスは含まれません。
中国語の「把」構文の使い方①「動詞の条件」

次に、本章からは文法的な部分からみた「把」構文の条件について解説していきます。「把」構文で使われる動詞と目的語にはそれぞれ条件があります。
本章ではまず、「把」構文で使われる動詞の条件について解説していきます。「把」構文で使われる動詞の条件は2つあります。
- 他動詞であること
- 動詞が単独ではないこと
「把」構文の条件「動詞が他動詞であること」
目的語を取らない自動詞や、感情や心理を表す動詞、動作を表さない動詞などは、「把」を目的語として取ることはできません。
自動詞の例)走,跑,跳,去
感情を表す動詞の例)喜欢,讨厌,知道
動作を表さない動詞の例)有,是,想,在,
上の例で出したような動詞は「把」を取ることができないので注意しましょう。
「把」構文の条件「動詞が単独ではないこと」
間違った例)你先把你的房间打扫(先に自分の部屋を掃除しなさい)
上の例では、「打扫(掃除をする)」という動詞が単体で使われています。この場合、文としては成立しません。
また、動詞が単独である場合も「把」は使うことができません。「把」を使う場合は、必ず動詞の後に結果を表す単語が必要です。正しく「把」構文を成立させるためには、以下のようにする必要があります。
結果補語をつける
動詞の後に、その動詞の結果を表す補語をくっつけます。
例)你先把你的房间打扫干净(先に自分の部屋を掃除しなさい)
動詞を重ねる
動詞を2回重ねると、語気を和らげたり、「ちょっと〜する」を表します。
例)你先把你的房间打扫打扫(先に自分の部屋を掃除しなさい)
「了」もしくは「着」をつける
文末に変化の「了」、もしくは継続や持続を表す「着」をおきます。
例)我先把自己的房间打扫了(先に自分の部屋を掃除した)
例)你先把你的背包背着(先に自分のリュック背負って)

中国語の「把」構文の使い方②「目的語の条件」


本章では、「把」構文に使われる「目的語」の条件について解説していきます。「把」構文で使われる目的語には、3つの条件があります。
- 目的語が特定されている
- 目的語に共通認識がある
- 目的語が行為の主体
「把」構文の条件「目的語が特定されている」
「这个」「那个」などの指示を表す単語や、「他的」「我的」などの所有を表す単語によって名詞が修飾されている場合のみ、「把」を使うことができます。
例)我把这个苹果汁喝掉了(私はこのりんごジュースを飲み干した)
上の例の場合、「苹果汁(りんごジュース)」が「这个」によって具体化されているため、「把」構文を使って大丈夫ということになります。
一方で、「一个」「某个」「有个」など、抽象的で目的語の特定ができない場合は、「把」構文を使うことができません。
「把」構文の条件「目的語に共通認識がある」
「話し手」と「聞き手」お互いが認識している場合は、「把」構文を使うことができます。
「把」構文は、「『目的語』を具体的にどうするか」を強調する構文です。話し手が聞き手のわからないものを強調しても、聞き手は何を言っているのかわかりませんよね。
「把」構文の条件「目的語が行為の主体である」
目的語が行為の主体である場合、「把」構文を使うことができます。
例)我把桌子弄坏了(僕は机を壊してしまった)
上の例は、「桌子(机)」が主体の文章です。「弄坏(いじって壊す)」という行為を対象にしているため、この文では「把」構文が使えます。
中国語の「把」の否定文


最後に、「把」構文の否定形の作り方について触れておきたいと思います。
「把」構文で、否定形を作る場合は、下の例のように「把」の前に「没」や「不」を持って来れば完成です。
例)我把你的雨伞放在这里了(私はあなたの傘をここに置いた)
→我没把你的雨伞放在这里(私はあなたの傘をここに置いていない)
過去の否定を表したいときは「没」を「把」の前におき、現在・未来の否定を表したい場合は、「不」を「把」の前におきます。
また、否定の場合と同様に、「想」「要」などの助動詞や「就」「才」などの副詞も全て「把」の前におきます。






中国語の「把」の使い方「まとめ」
以上、今回は中国語の「把」構文について解説させていただきました。最後に、今回の内容を軽くまとめておくので、理解したりない部分があったら読み返してみてくださいね。
- 中国語の「把」構文は、「目的語」を「具体的にどうするか」を表す
- 中国語の「把」構文は、「処置」「結果の強調」「過失」を意味する
- 「把」構文の動詞は、「他動詞」で「単独でないもの」でなければならない
- 「把」構文の目的語は「特定されているもの」「共通認識のもの」「行為の主体」でなければいけない
- 「把」構文の否定は、「把」の前に「没」や「不」をおく


