「中国語の方向補語ってなに?」「中国語の方向補語の使い方って?」「方向補語にはどんな種類があるの?」
中国語の「補語」って理解するのがすごく複雑な印象がありますよね。その中でも、中国語学習初心者の方が苦手イメージを持ってしまいがちなのが、今回解説していく「方向補語」です。
本記事では、中国語学習歴7年、台湾のナンバーワン大学に語学留学経験ありの筆者が、中国語の方向補語について、初心者の方にもわかりやすいよう丁寧に解説しています。
Contents
中国語の方向補語って?

中国語の「方向補語」とは、動詞の動作の方向を表す補語のことです。「可能補語」が「〜できる」、「結果補語」が「動作の結果」を表すように、「方向補語」も動作の「方向」を表しています。




方向補語も、可能補語や結果補語と同じように、2種類に分けることができます。
- 単純方向補語
- 複合方向補語
「単純?」「複合?」、方向補語って1つだけじゃないの?と思っているそこのあなた。
安心してください、次章から例文付きで丁寧に解説していきます。
中国語の方向補語「単純方向補語」


単純方向補語とは、動詞の後ろに方向を表す動詞が置かれ、補語となるもので、その動詞の動作方向を表します。単純方向補語は、全部で10個存在します。
「来(lái),去(qù),上(shàng),下(xià),进(jìn),出(chū),回(huí),开(kāi),过(guò),起(qǐ)」の10個
解説として10個全てをあげましたが、実際に文章中や会話で使われるのは「来/去」です。
そのほかの8個は、ほとんど後ろに「来/去」を伴って、後ほど解説する複合方向補語になります。
方向補語を使うときに気をつけなければならないのは、文章の語順です。目的語が場所を表す言葉かそうでないかによって方向補語を置く位置が変わってきます。
中国語の単純方向補語「目的語が場所」


目的語が「場所」の場合、単純方向補語を使った基本文型は以下のようになります。
- 「動詞」+「場所」+「来/去」
- 「動詞」+「方向補語」+「場所」
- 「往(wǎng)/向(xiàng)/朝(cháo)+「場所」+「動詞」+「方向補語」
「動詞」+「場所」+「来/去」
例1)他突然进我们的房间里来了(彼は突然私たちの部屋に入ってきた)
例1は、「動詞」+「場所」+「来/去」という形をとっています。方向補語の中でも1番使う形です。
「进」が動詞、「我们的房间里」が場所を表す目的語、「来」が方向補語になっています。
「動詞」+「方向補語」+「場所」
例2)他们得意洋洋地走进学校(彼らは意気揚々と学校に入った)
例2は、「動詞」+「方向補語」+「場所」という形を取っています。
「走」が動詞、「进」が方向補語、「学校」が場所を表す目的語になっていることがわかります。
「往(wǎng)」+「場所」+「動詞」+「方向補語」
例3)他们往学校跑去了(彼らは学校に向かって走っていった)
例3は、「往(wǎng)、向(xiàng)+「場所」+「動詞」+「方向補語」という形を取っています。
「往」の代わりに、「〜へ」「〜に向かって」などを表す「向(xiàng)」や「朝(cháo)」を使ってもOKです。
この場合は、「動詞」+「方向補語」+「場所」の言い換えで、場所を表す目的語を前に持ってくることで、その場所を話の主体にしています。
中国語の単純方向補語「目的語が場所でない」


目的語が「場所」でない場合、単純方向補語を使った基本文型は以下のようになります。
- 「動詞」+「目的語」+「方向補語」
- 「把」+「目的語」+「動詞」+「方向補語」
「動詞」+「目的語」+「方向補語」
例1)我每天骑脚踏车去学校(僕は毎日自転車に乗って学校に行く)
例1は、「動詞」+「目的語」+「方向補語」という形を取っています。
「骑」が動詞、「脚踏车」が場所ではない目的語、「去」が方向を表していることがわかります。
「把」+「目的語」+「動詞」+「方向補語」
例2)不要忘记把那个东西带来喔!(それ持ってくるの忘れないでよ!?)
例2は、「把」+「目的語」+「動詞」+「方向補語」という形を取っています。
「把」を使うことで、場所でない目的語が、どのように動いたかをより強調しています。



中国語の方向補語「複合方向補語」


先ほども少し話題に出しましたが、複合方向補語とは、単純方向補語であげた10個の動詞のうち、「来/去」の2つを除いた8個と「来/去」が合わさって、1つの方向補語になるものです。
例)走上来,跑下去,搬下来,拿过来,拿出去
このとき、後ろにつく「来/去」は話し手からみた方向を指します。
「来」であれば、その動作を行なっている対象が話し手に近づいてきていることを表し、「去」であれば遠ざかっていっていることを表します。
複合方向補語は、単純方向補語と比べて、「どの方向にどう動詞したのか」を詳しく表しているので、会話のときによく使われます。
複合方向補語の場合も、目的が場所とそうでない場合とで語順が違います。
中国語の複合方向補語「目的語が場所」


目的語が「場所」の場合、複合方向補語を使った基本文型は以下のようになります。
- 「動詞」+「方向補語」+「場所」+「来/去」
「動詞」+「方向補語」+「場所」+「来/去」
例)他已经走进教室里去了(彼はもう教室に入っていったよ)
目的語が場所の場合、複合方向補語の語順は、「動詞」+「方向補語」+「場所」+「来/去」の形だけです。
上の例の場合、「走进」が「動詞+方向補語」、「教室里」が場所を表す目的語、「去」が2つ目の方向補語として、話してからみた方向を表しています。
中国語の複合方向補語「目的語が場所でない」


目的語が「場所」でない場合、複合方向補語を使った基本文型は以下のようになります。
- 「動詞」+「目的語」+「複合方向補語」
- 「動詞」+「方向補語」+「目的語」+「来/去」
- 「動詞」+「複合方向補語」+「目的語」
「動詞」+「目的語」+「複合方向補語」
例1)他拿一张卡片出来了(彼は一枚のカードを持って出てきた)
この場合の「複合補語」は、話し手から見た対象が、どちらに動くかを表しています。
この例で言えば、彼がカードを取り出したのではなく、「『彼』という対象が、カードを持った状態で出てきた」という意味になります。
「動詞」+「方向補語」+「目的語」+「来/去」
例2)他拿出一张卡片来了(彼は一枚のカードを出してきた)
この場合の「複合補語」は、目的語の動作の方向と、その結果を表します。
この例で言えば、例1とは違い、彼がどうこうではなく、目的語である「一张卡片(カード)」を取り出したという意味になります。
「動詞」+「複合方向補語」+「目的語」
例3)他拿出来一张卡片(彼は1枚のカードを持ち出してきた)
この場合の「複合補語」は、すでに完了された動詞の方向を表します。
例2の意味と非常に似ています。ですが、例3の場合、完全に動作が終了していることを表すので、カードはすでに完全に持ち出された状態にあるという意味になります。
会話ではあまり使わない表現なので、「こんな言い方もできるんだ」くらいで覚えておけばOKです。
中国語の方向補語「まとめ」
以上、今回は中国語の方向補語について解説させていただきました。最後にもう一度今回の重要点をまとめておくので参考にしながら復習してみてください。
- 中国語の方向補語は、動詞の動作する方向を表すもの
- 中国語の方向補語は「単純方向補語」と「複合方向補語」の2つ
- 目的語が場所かどうかで、方向補語を置く位置がかわる