「中国語の『了』の使い方がイマイチよくわからない」「中国語の『了』ってどんな意味があるの?」
中国語学習をされている多くの方が必ず立ち往生してしまうのが「了」の使い方です。
「了」は中国語学習の中で最も理解が難しいと言われているほど、意味が多く、様々な使い方があります。
本記事では、中国語学習歴7年、台湾に語学留学経験ありの筆者が、基本的な「了」の意味と使い方、そして「了」が使えない場合などを、例文を交えて簡単に解説しています。
Contents
中国語の「了」の種類

中国語の「了」には、大きく分けて2つの使い方があります。それが「アスペクト助詞」としての「了」と「語気助詞」としての「了」です。
- アスペクト助詞
- 語気助詞
「アスペクト助詞?」「語気助詞?」と、頭の上にはてなを浮かべているそこのあなた。
「了」の意味を解説すると同時に、アスペクト助詞とは何か、語気助詞とは何かについてもしっかり解説しているので安心して読み進めてください。
中国語の「了」の使い方「アスペクト助詞」

「アスペクト助詞」とは、過去、現在、未来と時制に関係なく、動作が完了・実現したことを表します。動作が完了・実現したことをさすので、アスペクト助詞の「了」は動詞の後につきます。
「すでに起こったこと」「これから起こること」どちらにも使うことができるので注意しましょう。
アスペクト助詞が具体的に表すのは、「過去」「接続」「仮定条件」の3つです。これだけ聞いてもよくわからないと思うので、例文付きで1つづつ解説していきます。
中国語の「了」の意味「〜した」
例)昨天我买了三条裤子(昨日僕はズボンを3本買った)
この場合の「了」は、「〜した」という過去の意味を表します。
「了」を置く位置
後ろの目的語が目的語が「三条裤子」のように、「数量+目的語」になっている場合は、動詞の後に、「目的語のみ」の場合は文末に「了」を置きます。
中国語の「了」の意味「〜してから〜」
例)明天我下了班,就给他打个电话(明日退勤してから彼に電話します。)
この場合の「了」は「〜してから〜する」という、複文の前半の動作と後半の動作の接続を表しています。
上の例では、「退勤する」という条件動作と、「退勤」という条件動作が実現してから「電話する」という結果になっています。
中国語の「了」の意味「〜したら〜」
例)如果他来了,我们问问看吧(もし彼が彼が来たら、聞いてみよう)
この場合の「了」は「(もし)〜したら〜する」という仮定の意味を表します。複文の前半に「条件となる動作」を持ってきて、複文の後半で、その動作が実現した結果をいいます。
上の例では、「もし彼がきたら」という仮定条件を述べ、「聞いてみる」という結果を持ってきています。
中国語の「了」の使い方「語気助詞」

語気助詞の「了」の場合、動作や状況の「変化」「継続」や「完了」、に「語気の強調」を加えた4つの意味を表します。
中国語の「了」の意味「継続」
例1)他学中文学了三年了(彼は中国語を勉強して3年になります。)
この場合の語気助詞としての「了」は、動作や状況の「継続」を表しています。ただし、「継続」を表す場合は必ず、時間を表す単語の後ろに「了」を置かないといけません。
上の例では、「彼は3年間中国語を勉強していて、今も継続している」という意味になります。「三年」という時間を表す単語の後に「了」がついているから「継続」の意味であることがわかりますよね。
ただし、注意して欲しいのは、下の例2のような場合です。これは、文末に「了」がないので、「3年間中国語を勉強した」という意味はありますが、「今も継続している」というニュアンスは含まれません。
例2)他学中文学了三年(彼は3年間中国語を勉強した)
中国語の「了」の意味「完了」
例)他已经讲了三次了(もう3回も言ったよ)
この場合の語気助詞としての「了」は、動作の完了を表します。
文章の構造だけに注目すると「継続」の「了」と似ています。ですが上の例の場合、「了」が置かれている位置は、時間を表す単語の後ろではありません。
つまり上の例は、「『3回言った』という行動が完了した」ことを表します。
中国語の「了」の意味「変化」
例1)夏天了(夏になった)
例2)他突然笑起来了(彼は急に笑い始めた)
例3)他瘦了(彼は痩せた)
この場合の語気助詞としての「了」は、状況や動作の変化を表します。
「変化」の「了」の場合、例のように対象の単語の直後に置くことで、その対象の単語の状態になったことをあわらすことができます。
中国語の「了」の意味「語気の強調」
例1)欸?你怎么了?(え、どうしたの?(驚き))
例2)好棒了!(めっちゃすごい!(感動))
例3)你这样不对了吧(これは違うでしょ〜)
この場合の語気助詞としての「了」は、語気を強調する役割を果たします。
例1や例2のように、「驚き」や「感動」を表すとともに、例3のように、否定文や命令文など、意味がキツくなりがちな文の語気を和らげる意味もあります。
中国語の「了」を使えない場合

さて、ここまでアスペクト助詞の「了」と語気助詞としての「了」の2つを解説してきました。
「了」には本当に多くの意味があることがわかってもらえたかと思いますが、これまた厄介なことに、すべての状況で使えるというわけでもないんです。
本章では、中国語の「了」を使うことができない代表的な3つのケースを紹介します。
- 動作を表さない動詞
- 習慣を表す場合
- 行動のみを表す場合
「了」が使えないケース①動作を表さない動詞
「是」、「在」などの状態を表す動詞や、「觉得」、「想」などの感覚や意志を表す動詞は動作を表すことができません。
そのため、以下のような文章は全て間違いなので文を作る際は注意してください。
間違った例)去年他是了大学生(彼は去年大学生だった)
→到去年为止,他是大学生(去年まで大学生だった)
間違った例)他以前在了台湾(彼は以前台湾にいた)
→他以前在台湾(彼は台湾にいた)
「了」が使えないケース②習慣を表す場合
現在過去問わず習慣を表す場合、「了」を使うことができません。
以下のように、習慣を表す場合に「了」を使うと不自然な意味になってしまうので注意してください。
例)高中的时候,每天都坐了地铁(高校生のとき毎日地下鉄に乗っていた)
→高中的时候,每天都坐地铁(高校生のとき、毎日地下鉄に乗っていた)
「了」が使えないケース③「行動」のみを表す場合
過去や現在に起きた具体的な行動を表すのではなく、その時の行為のみを表す場合は、「了」を使うことができません。
例えば、以下の例1の「〜的时候(〜の時)」のように時制がすでに特定されていれば、どんな行動かを述べるだけでいいので、「了」を使う必要がありません。
また、例2の「有时候(たまに)」のように、行動はしていたけれど、いつしたのか特定できない状況で「了」を使うと意味が不自然になってしまいます。
例1)我爸回家的时候刚好有地震(父親が帰ってきたとき、ちょうど地震があった)
例2)我以前有时候去KTV唱歌(以前、たまにカラオケに行っていました)
中国語の「了」の否定文

「了」の否定文を作る場合は、動詞の直前に「没」を置き、「了」をとります。
例)昨天他跑了五公里(彼は昨日5キロ走った)
→昨天他没(有)跑(彼は昨日走っていない)
「没」自体に「動作の実現の否定」の意味があるため、「了」と混在させてしまうと、かなり不自然な意味になってしまいます。
ですので、「了」の否定文を作る場合は、「没」と「了」を一緒に使わないように注意しましょう。
また、上の例にカッコで示しているように、「没」ではなく「没有」を使ってもOKです。
中国語の「了」の意味「まとめ」
いかがでしたでしょうか?やっぱりまだ「了」の意味や使い方は難しいと感じますよね。
最後に、今回の「了」の意味や使い方についての解説を以下にまとめるので軽く復習してみてください。
- 中国語の「了」は「アスペクト助詞」と「語気助詞」の2種類
- 「アスペクト助詞」の「了」→「〜した」「〜してから〜」「〜したら〜」
- 「語気助詞」の「了」→「継続」「変化」「完了」「語気の強調」
- 動作じゃない動詞、習慣、行動のみを表す場合は「了」が使えない
- 否定文では、「没」を置いて「了」をとる
冒頭でもお話ししたように、中国語の「了」は使い方や理解が非常に難しい文法要素です。今まで以上に気合を入れて勉強をしてみてください。
